幸せになるために
「快感回路」という本を読んだ。脳科学の知見から、「快」と「依存」の関係を解説してくれる。例えば甘いものを食べると、脳の特定領域が活性化して快を感じる。でもそれを繰り返すうちに活性化が弱まって、もっと強い刺激じゃないと快を感じられなくなる。それどころか、甘いものを食べてようやく「普通の状態」になれる、つまり、甘いものを食べない限り不快な状態になってしまう。だからもっと甘いものを食べる。これが依存の仕組みだという。
他人から評価されると、同じ領域が活性化する。さらに、他の快、それにつながるあらゆること(例えば行動)に対しても。強迫観念・行為のように、生きていくうえで何の役にも立たないように見えることにさえ。
他人からの評価を気にしすぎるあまり、引きこもってしまった僕は、人からの評価に文字通り「依存」していたと言うことか。
入院生活という社会体験を通して、「他人からの評価がすべてじゃない」という、言葉にすれば当たり前のことを実感している。最近は人から話しかけられても、全力で応えようとしない、あえて話さない勇気を持てるようになってきたし、わがままやルール破りなど、以前の僕なら考えられないこともする。その方が全体として見たときに「快」だからだ。これは、行動の基準が他人に寄りすぎていた僕にとっては良い変化だと思っている。
ただ一方で、快を基準に行動することは、脳に電極を埋め込まれ、快を与えてくれる装置をひたすら連打するマウスと変わらない気がする。先の本によれば、「C・エレガンス」という体長1mmほどの線虫にさえ、快感回路といえるものが備わっているという。
内容は関係ないけど、この後「マンガで知るサイバーセキュリティ」という本を読んだ。タイトル詐欺もいいところ、ただただ内容が胸糞悪くて、暗い気持ちになってしまった。
人は快を欲しがるくせに、手に入れるともっと強い快が欲しくなるようにできている。悲劇だって平気で起きる。「人は幸せになるために生まれてきたんじゃないんだな」と。
ただこうやって悲しみに浸っている間も、そこから抜け出したくない気持ちがあった。ということはそこにも一種の快があったと言うことか!?
いずれにしても、快との付き合い方を考えていく必要がある。

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