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父のエンターキーがうるさい

昨日から今日にかけて、父が仕事の書類をせっせと作っている。父はエンターキーを強く叩く癖があって、その音が、隣の部屋の僕のところまで聞こえてくる。気が散ってしょうがない。

でも今月末に放送大学の期末試験を控えているので、ヘッドホンで聴きたくもない音楽を流しながら勉強している。

どうしてここまで不快に感じるのか。父はエンターキー以外にも、いちいち動作がうるさい。ドアの開け閉めは常に全力だし、この時期はうがいも大声を出しながら頑張っている。そういう音を聞くたびに、父の威圧的なイメージが勝手に浮かんできてしまう。

とくにエンターキーの音は、不規則なリズムで頻繁にやってくる。そのたびに不快になる。本当に我慢ならない。でも言えない。不平不満に限らず、僕は父とは関わらないようにしている。近くにいるときは気配を消すように心がけている。いつも意味の分からないところで突然キレられて、嫌な思いをしてきたから。

でも父の方が、僕を避けている面もある。たまに事務的な質問をするとキョドるし、僕に頼みごとがあっても直接言えないので、母を介して言ってくる。そんなだから、たまに家族そろって食事をするときは、お互い目の前にいるのに母を介して意思の疎通を図る。

そもそも父は今、近くに住む祖母と一緒に暮らしているのに、なぜわざわざこの家に来て仕事をするのか。父と同じ家にいることがここまで嫌だったのかと、こうして帰ってくるたびに実感している。離れて暮らすようになって本当に救われた(まだ母という強敵がいるが) 。

そういうわけで、エンターキーの振動が空気を伝わって鼓膜に届くだけの音を、僕は「ただの音」として聞くことができない。こう考えると納得できる気がしてしまうが、実際は何の説明にもなっていない。でも、僕が意識した瞬間にはすでに不快感を帯びていることは確かなので、気にしないように意識したところでどうにもならないと思う。