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基本的な帰属のエラー

 今月末に、放送大学で勉強を開始してから初めての単位認定試験がある。当初の予定通りに進まなかったこともあって、ここ一週間は一日の大半を勉強して過ごしている。こんな経験は今までにはなかった。

 何よりも勉強嫌いだった僕が、どうして真剣に取り組めるようになったのか。その理由はすぐに説明できる気がしないし、それがそのまま誰かの役に立つとは思えない。それでも、誰から言われたわけでもないのに勉強に対する態度が180度変わったことだけは確か。

 逆に、例えば一年前の僕に「勉強しなさい」と、どんなに尤もらしい理由を添えて説得してもその気にはならないだろう。この短期間で起こった変化を説明できないように、その時点の僕がそうだった理由も相当に複雑だから。心理学にはその人がなぜその状態(人格)になったのかという考え方はいくつもあるが、目に見えない心を扱うための手段が限られていて現状では答えが出ていない。

 過程が分からないのに、結果だけを見てその人のことを判断してしまうのは何でだろう。少し極端かもしれないが、ある人が罪を犯せば、その人の人格が責められて当然と思ってしまう。その傾向は「基本的な帰属のエラー」として知られていて、実際にはその時の環境や他者の影響がかなり大きいことが実験で証明されている。

 人格は、生まれ持ったもの(遺伝的要因)とその後の経験(環境要因)とが複雑に影響しあって作られていくと考えられている。その考えにのっとれば、同じ遺伝子をもって生まれて同じ経験をすれば、同じ人格が出来上がることになる。 でも仮に自分と全く同じ人がいたとしても、その人を自分とは思えそうにない。「今考えていると感じている存在こそが自分だ」という意識を皆が実感として持っているからこそ、「基本的な帰属のエラー」が生まれるんじゃないか。そうすると実はエラーではなくて、遺伝的要因と環境要因の二つしかないという前提の方が間違っているのかもしれない。